この記事の要点
原本還付は、書面申請で提出した添付書面の原本を、申請後に返してもらう手続です(不動産登記規則55条)。
原則として請求できますが、その申請のためにのみ作成された書面(本人確認情報・登記識別情報を記載した書面など)や、偽造の疑いがある書面は還付できません。
戸籍謄本などは、相続関係説明図を添付すれば還付を受けられます。
原本還付とは、書面申請で添付書面として提出した原本を、登記の手続後に返してもらうことです。原本を手元に残したいときに使います。
還付を請求するときは、原本と相違ない旨を記載した謄本(コピー)を提出し、登記官が原本と照合したうえで原本を返します。
書面申請の添付書面は、原則として原本の還付を請求できます。所有権を証する情報など、ほかにも使う書面の原本を手元に残せます。
その申請のためにのみ作成された書面は、原本還付を請求できません。たとえば、資格者代理人が作成した本人確認情報や、登記識別情報を記載した書面は、その申請のためだけに作られたものなので還付されません。
偽造その他の不正な申請に用いられた疑いがある書面も還付できません。
相続を証する戸籍謄本・除籍謄本などは、相続関係説明図を添付することで、原本の還付を受けられます。
Q. 資格者代理人が作成し提供した本人確認情報は、原本還付を請求できる。○か×か。
×。本人確認情報は、その申請のためにのみ作成された書面なので、原本還付を請求できません。
Q. 相続を証する戸籍謄本などは、相続関係説明図を添付することで原本の還付を受けられる。○か×か。
○。戸籍謄本・除籍謄本などは、相続関係説明図の添付により原本還付を受けられます。
Q. 偽造された疑いがある書面でも、申請人が請求すれば必ず原本還付される。○か×か。
×。偽造その他の不正な申請に用いられた疑いがある書面は、還付できません。
原本還付は書面申請の添付書面の原本を返してもらう手続で、原則として請求できますが、その申請のためにのみ作成された書面(本人確認情報・登記識別情報を記載した書面など)や偽造の疑いがある書面は還付できません。戸籍は相続関係説明図の添付で還付を受けられます。
「その申請のためだけに作った書面は還付されない」を押さえておきましょう。
この論点が問われた過去問です。正答は法務省公表の正解によります。各問の解説は年度・問番号から確認できます。
| 年度・No. | 正答 | 問われた論点 |
|---|---|---|
| 平成29 No.9 | 1 | 添付書面の原本還付 |
※正答は法務省公表の正解(標準解答)によります。「記述」は記述式問題です。
参考にした資料
・不動産登記規則 第55条(添付書面の原本の還付)/原本還付を請求できない書面(その申請のためにのみ作成された書面・偽造の疑いがある書面)、戸籍の相続関係説明図による還付について確認
・平成29年度 土地家屋調査士試験 午後の部 第9問(添付書面の原本還付)/法務省 公式問題
※取扱いは変更されることがあります。最新の不動産登記規則は法務省・e-Govでご確認ください。内容確認日:2026年6月16日。
まちがえやすいポイント
本人確認情報や登記識別情報を記載した書面は、原本還付を請求できません。その申請のためにのみ作成された書面だからです。一方、戸籍謄本などは相続関係説明図を添付すれば還付を受けられます。「その申請のためだけに作った書面=還付されない」と整理しましょう。