この記事の要点
相続が開始すると、相続人は単純承認・限定承認・放棄のいずれかを選べます。
選べる期間(熟慮期間)は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月です(民法915条)。
限定承認は共同相続人全員で共同して、放棄は家庭裁判所に申述してします(923条・938条)。
相続では、プラスの財産だけでなく借金などのマイナスも承継します。そこで相続人に「受けるか・限定して受けるか・放棄するか」の選択が認められています。
相続人は、単純承認・限定承認・放棄の3つから選べます。何もせずに熟慮期間が過ぎると、原則として単純承認をしたものとして扱われます。
| 選択肢 | 内容 | 手続 |
|---|---|---|
| 単純承認 | 権利義務を無限に承継(借金も全部) | 特別な手続は不要 |
| 限定承認 | 相続財産の限度でのみ債務を弁済 | 共同相続人全員で家庭裁判所に申述 |
| 放棄 | 初めから相続人でなかったとみなす | 家庭裁判所に申述 |
承認・放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければなりません(民法915条)。この期間を熟慮期間といいます。
起算点は「死亡の時」ではなく「自己のために相続の開始があったことを知った時」である点に注意します。
相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされます(民法921条1号)。これを法定単純承認といいます。
ただし、保存行為や短期の賃貸借は処分にあたらず、これらをしても法定単純承認にはなりません(921条1号ただし書)。熟慮期間の徒過や、相続財産の隠匿・消費なども法定単純承認の事由です。
限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみすることができます(923条)。一人だけで限定承認はできません。
放棄は家庭裁判所に申述してし(938条)、放棄をすると初めから相続人でなかったものとみなされます(939条)。放棄は代襲相続の原因にならない点もあわせて押さえましょう。
Q. 相続の放棄は、法務局に申述してする。○か×か。
×。放棄・限定承認は家庭裁判所に申述してします(民法938条)。
Q. 相続人が相続財産について保存行為をすると、単純承認をしたものとみなされる。○か×か。
×。保存行為は処分にあたらず、法定単純承認にはなりません(民法921条1号ただし書)。
Q. 限定承認は、共同相続人の一人が単独ですることができる。○か×か。
×。限定承認は共同相続人の全員が共同してのみできます(民法923条)。
相続人は知った時から3か月以内に単純承認・限定承認・放棄を選べ、保存行為は法定単純承認にならず、限定承認は全員共同、放棄は家庭裁判所に申述してします。
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参考にした資料
※法令は改正されることがあります。最新の条文をご確認ください。内容確認日:2026年6月27日。
まちがえやすいポイント
相続の放棄・限定承認の申述先は「家庭裁判所」で、法務局ではありません。また、相続財産の保存行為をしても法定単純承認にはなりません(921条1号ただし書)。放棄者は初めから相続人でなかったものとみなされ、その子は代襲相続できない点も頻出です。