この記事の要点
土地の滅失の登記は、土地が滅失したときに、表題部所有者または所有権の登記名義人が申請する表示に関する登記です(不動産登記法42条)。
申請期間は滅失の日から1月以内で、起算日は「滅失を知った日」ではありません。
一筆の一部だけが没した場合は滅失にあたらず、地積の変更の登記になります。
建物の滅失はイメージしやすい一方、土地がなくなるという場面はつかみにくいところです。
土地の滅失は、海面下に没するなどして、その土地が物理的に存在しなくなった場合をいいます。
土地の滅失の登記は、土地が滅失したときに、表題部所有者または所有権の登記名義人が申請する登記です(法42条)。
建物の滅失の登記(法57条)と同じ組み立てで、条文の作りもよく似ています。
実際の出題では、春分または秋分における満潮時に一筆の土地の全部が海面下に没した場合に、土地の滅失の登記が必要とされました(令和元年 午後 第6問)。
土地が滅失したときは、表題部所有者または所有権の登記名義人が、滅失の日から1月以内に、土地の滅失の登記を申請しなければなりません(法42条)。
起算日は滅失の日です。
滅失にあたるのは、一筆の土地の全部が失われた場合です。
崖崩れで一筆の土地の一部が常時海面下に没した場合は、全部が滅失したとはいえず、地積の変更の登記を申請します(令和元年 午後 第6問)。
地積について変更があったときは、その変更があった日から1月以内に変更の登記を申請します(法37条)。
常時水面下になったからといって、いつでも滅失の登記になるとは限りません。
一筆の土地の全部を掘って池を作り常時水面下に没した場合と、一般運送の用に供する目的で人工的に水路を設けて常時水面下に没した場合は、どちらも土地の滅失の登記の申請は必要ないとされました(令和元年 午後 第6問)。
不動産登記事務取扱手続準則68条は、地目として池沼(かんがい用水でない水の貯留池)や運河用地を定めています。
| 土地の状況 | 申請する登記 |
|---|---|
| 一筆の全部が海面下に没した | 土地の滅失の登記 |
| 一筆の一部が常時海面下に没した | 地積の変更の登記 |
| 全部を掘って池にした/運送用の人工水路にした | 滅失の登記は必要ない |
水面下になった理由と、失われたのが全部か一部かを分けて見ます。
建物の滅失の登記は法57条で、こちらも滅失の日から1月以内の申請です。
土地は42条、建物は57条と、条文を対にして押さえます。
令和元年度は、教授と学生の対話形式で土地の滅失の登記が正面から問われました。
起算日、池、一般運送用の人工水路、海面下への水没、崖崩れによる一部水没という5つの場面が並べられ、どれが滅失にあたるかが試されています。
Q. 土地の滅失の登記は、滅失した事実を知った日から1月以内に申請しなければならない。○か×か。
×。法42条は「その滅失の日から一月以内」と定めています。知った日ではありません。
Q. 崖崩れで一筆の土地の一部が常時海面下に没した場合は、土地の滅失の登記を申請する。○か×か。
×。全部が滅失したとはいえないので、地積の変更の登記になります(令和元年 午後 第6問)。
Q. 土地の滅失の登記を申請できるのは、表題部所有者または所有権の登記名義人である。○か×か。
○。法42条が申請する者としてこの2者を定めています。
土地の滅失の登記は、土地が滅失した日から1月以内に、表題部所有者または所有権の登記名義人が申請する登記です。
一部が没しただけなら地積の変更の登記になり、水面下になった理由によっては滅失にあたりません。
この論点が問われた過去問です。正答は法務省公表の正解によります。各問の解説は年度・問番号から確認できます。
| 年度・No. | 正答 | 問われた論点 |
|---|---|---|
| 令和元 No.6 | 5 | 土地の滅失の登記(対話式) |
※正答は法務省公表の正解(標準解答)によります。
参考にした資料
※法令・取扱いは変更されることがあります。最新の条文をご確認ください。内容確認日:2026年7月16日。
まちがえやすいポイント
1月の起算日は「滅失の日」であって、「滅失した事実を知った日」ではありません。令和元年度では、起算日を「滅失した事実を知った日」とする記述が誤りとされました。似た条文の建物の滅失の登記(法57条)も、起算日は滅失の日です。