この記事の要点
依頼に応ずる義務(調査士法22条)=正当な事由がなければ、依頼を拒んではならない。ただし筆界特定手続の代理・民間紛争解決手続(ADR)代理関係業務などは対象外です。
秘密保持義務(24条の2)=正当な事由がなければ、業務上知った秘密を漏らしてはならない。調査士であった者(退職後)にも適用されます。
どちらも「正当な事由」がキーワードで、試験で狙われます。
土地家屋調査士には、業務に関するいくつかの義務があります。試験でよく問われるのが、依頼に応ずる義務と秘密保持義務です。
どちらも「正当な事由」という言葉の扱いが、引っかけのポイントになります。順番に整理します。
土地家屋調査士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒んではなりません(調査士法22条)。表示に関する登記の調査・測量や申請手続の代理などは、正当な事由なく断ることはできません。
正当な事由とは、たとえば病気・事故で業務を行えない場合や、報酬や処理期間について合意に至らない場合などが考えられます。
ただし、この義務には対象外の業務があります。筆界特定手続の代理、筆界特定に関する相談、民間紛争解決手続(ADR)の代理関係業務は、依頼に応ずる義務の対象から除かれています。これらは、正当な事由がなくても依頼を拒むことができます。
調査士または調査士であった者は、正当な事由がある場合でなければ、業務上取り扱った事件について知ることのできた秘密を、他に漏らしてはなりません(調査士法24条の2)。
1つ目は、「正当な事由がある場合でなければ」とあるとおり、正当な事由があれば漏らすことが許される場面があるということ。2つ目は、調査士を辞めた後(調査士であった者)にも適用されることです。
調査士の義務は、土地家屋調査士法の問題で問われます。
令和6年度(午後の部)第20問でも、依頼に応ずる義務(筆界特定手続の代理を正当な事由なく拒めるか)や、秘密保持義務(正当な事由があっても漏らしてはならないのか)などが題材になりました。条文の「正当な事由」と「対象外の業務」を正確に押さえておくことが大切です。
Q. 土地家屋調査士は、正当な事由がなければ、表示に関する登記の調査・測量などの依頼を拒むことができない。○か×か。
○。依頼に応ずる義務(調査士法22条)により、正当な事由がなければ依頼を拒めません。
Q. 筆界特定手続についての代理業務の依頼は、正当な事由がなくても拒むことができる。○か×か。
○。筆界特定手続の代理は、依頼に応ずる義務の対象外なので、正当な事由がなくても拒むことができます。
Q. 土地家屋調査士は、正当な事由がある場合であっても、業務上知った秘密を漏らしてはならない。○か×か。
×。秘密保持義務は「正当な事由がある場合でなければ漏らしてはならない」ので、正当な事由があれば漏らすことが許されます。
依頼に応ずる義務(22条)は正当な事由がなければ依頼を拒めない(筆界特定代理・ADR代理は対象外)、秘密保持義務(24条の2)は正当な事由がなければ秘密を漏らしてはならない(退職後も)、という義務です。
どちらも「正当な事由」の扱いが引っかけになります。条文の言い回しで押さえましょう。
この論点が問われた過去問の解説です(新しい年度から順)。
参考にした資料
・土地家屋調査士法 第22条(依頼に応ずる義務)・第24条の2(秘密保持の義務)/日本土地家屋調査士会連合会・法令データで確認
・令和6年度 土地家屋調査士試験 午後の部 第20問(土地家屋調査士・調査士法人)/法務省 公式問題
※法令は改正されることがあります。最新の土地家屋調査士法はe-Govでご確認ください。内容確認日:2026年6月13日。
まちがえやすいポイント
秘密保持義務は「正当な事由がある場合でなければ漏らしてはならない」=正当な事由があれば漏らせる、です。「正当な事由があっても絶対に漏らせない」と覚えると誤りになります。また、依頼に応ずる義務には、筆界特定手続の代理やADR代理関係業務など対象外の業務がある点にも注意しましょう。