この記事の要点
合筆の登記を申請できるのは、表題部所有者または所有権の登記名義人だけです(不動産登記法39条1項)。
所有権の登記がある土地の合筆では登記識別情報の提供が必要ですが(令8条1項1号)、合筆に係る土地のうちいずれか一筆の分を提供すれば足ります(同条2項1号)。
令別表9の項の添付情報に地積測量図はありません。
合筆の登記でまず思い浮かぶのは、合筆できない6つの場合という制限の方です。
択一では、その手前にある申請人と添付情報も同じくらい問われます。
合筆の登記は、数筆の土地を一筆にまとめる登記で、表題部所有者または所有権の登記名義人が申請します(法39条1項)。
分筆の登記と同じ条文で、申請人の範囲も同じです。
合筆の登記には、相互に接続していない土地や、地目・地番区域が異なる土地など、できない場合が定められています(法41条)。
その6つの制限と例外は、下の記事にまとめてあります。
所有権の登記がある土地の合筆の登記は、登記名義人が登記識別情報を提供しなければならない登記とされています(令8条1項1号)。
表示に関する登記でありながら登記識別情報が出てくるのは、この合筆の登記が代表例です。
提供する範囲には、次の緩和があります。
所有権の登記がある土地の合筆の登記は、合筆に係る土地のうちいずれか一筆の土地の所有権の登記名義人の登記識別情報を提供すれば足ります(令8条2項1号)。
令別表9の項が定める合筆の登記の添付情報は、地役権の登記がある承役地の合筆で地役権設定の範囲が合筆後の土地の一部であるときの、その範囲を証する情報と地役権図面です。
地積測量図は挙げられていません。
| 分筆の登記(令別表8の項) | 合筆の登記(令別表9の項) | |
|---|---|---|
| 申請人 | 表題部所有者または所有権の登記名義人(法39条1項) | 同じ(法39条1項) |
| 地積測量図 | 添付情報になっている(分筆後の土地の地積測量図) | 挙げられていない |
| 登記識別情報 | 令8条1項に挙がっていない | 所有権の登記がある土地は必要(いずれか一筆でよい) |
| 地番 | 分筆前の地番に支号(準則67条1項4号) | 合筆前の首位の地番(同項6号) |
分筆と合筆は同じ条文から出発しますが、添付情報で見事に分かれます。
申請情報の内容とするのは、合筆後の土地の所在する市・区・郡・町・村・字と、その土地の地目・地積です。
地役権の登記がある承役地の合筆で、地役権設定の範囲が合筆後の土地の一部であるときは、その設定の範囲も申請情報の内容になります。
合筆の登記は、令和6年度・令和4年度・令和2年度・平成29年度と繰り返し出ています。
令和2年度は合筆の登記の代理権限、令和3年度は合筆の登記の電子申請という角度でも問われました。
Q. 所有権の登記がある甲土地・乙土地・丙土地を合筆する場合、3筆すべての登記識別情報を提供しなければならない。○か×か。
×。令8条2項1号により、合筆に係る土地のうちいずれか一筆の土地の所有権の登記名義人の登記識別情報を提供すれば足ります。
Q. 合筆の登記の添付情報として、合筆後の土地の地積測量図を提供しなければならない。○か×か。
×。令別表9の項の添付情報に地積測量図は挙げられていません。地積測量図が添付情報になっているのは分筆の登記(令別表8の項)です。
Q. 合筆した土地の地番は、合筆前の首位の地番になる。○か×か。
○。準則67条1項6号のとおりです。分筆の場合は分筆前の地番に支号を付します(同項4号)。
合筆の登記は表題部所有者または所有権の登記名義人が申請し、所有権の登記がある土地ではいずれか一筆の登記識別情報が必要で、地積測量図は添付情報になっていません。
合筆できない6つの場合は、制限の記事で押さえます。
この論点が問われた過去問です。正答は法務省公表の正解によります。各問の解説は年度・問番号から確認できます。
| 年度・No. | 正答 | 問われた論点 |
|---|---|---|
| 令和6 No.9 | 4 | 合筆の登記 |
| 令和4 No.9 | 1 | 合筆の登記 |
| 令和3 No.4 | 3 | 合筆の登記の電子申請 |
| 令和2 No.10 | 4 | 合筆の登記 |
| 令和2 No.4 | 1 | 合筆の登記の代理権限 |
| 平成29 No.14 | 3 | 合筆の登記 |
※正答は法務省公表の正解(標準解答)によります。
参考にした資料
※法令は改正されることがあります。最新の条文をご確認ください。内容確認日:2026年7月16日。
まちがえやすいポイント
合筆に係る土地の全部について登記識別情報を提供しなければならない、ではありません。令8条2項1号により、いずれか一筆の土地の所有権の登記名義人の登記識別情報で足ります。なお、そもそも登記識別情報が要るのは所有権の登記がある土地の合筆であって、表題部所有者しかいない土地どうしの合筆では問題になりません。