この記事の要点
登記できる「建物」かどうかは、建物認定の3要件=定着性・外気分断性・用途性で判断します(不動産登記規則111条)。
3つはすべて満たす必要があり、1つでも欠ければ建物として登記できません。
たとえば石油タンクは、外気と分断されていても用途性を欠くため建物になりません。
建物認定とは、ある建造物が登記できる「建物」に当たるかどうかを判断することです。
不動産登記規則111条は建物を「屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるもの」と定めています。
この定義を3つに分けたのが、定着性・外気分断性・用途性という建物認定の3要件です。
建物として登記するには、次の3つをすべて満たす必要があります。
①定着性(土地への定着性):その建造物が永続的に土地に固着して使える状態にあること。直接地面でなく、既存の構造物の上に建つ場合も間接的に定着性が認められることがあります。
②外気分断性:屋根や周壁(またはこれらに類するもの)によって、内部が外気と分断されていること。
③用途性:その建物が目的とする用途に供しうる一定の空間を備えていること(人や物がとどまれる「人貨滞留性」)。
まず、3要件が建物のどこを指すのかを図で確認します。
不動産登記事務取扱手続準則77条は、建物として扱う例・扱わない例を示しています。どの要件を満たすか・欠くかで判断します。
| 例 | 建物になるか | 理由(要件) |
|---|---|---|
| 停車場の乗降場で上屋(屋根)のある部分 | なる | 定着・外気分断・用途性を満たす |
| 周壁を備えたガード下の利用部分 | なる | 外気分断性が備わるため |
| 石油タンク・ガスタンク・給水タンク | ならない | 用途性(人貨滞留性)を欠く |
| 浮き船を利用したもの | ならない | 定着性を欠く(土地に定着しない) |
| 容易に運搬できる切符売場・入場券売場 | ならない | 定着性を欠く(永続性がない) |
このように、3要件のどれを欠くかで「建物にならない」理由を説明できると、応用問題にも対応しやすくなります。
建物認定は、択一でそのまま問われます。
令和6年度(午後の部)第12問では、上屋を有する駅ホーム内の売店、家畜の飼料を貯蔵するサイロ、店舗に使う廃車の鉄道車両、開閉式ドーム屋根の野球場、円柱状の石油タンクなどを題材に、建物として登記できるかが問われました。いずれも3要件のどれを満たし、どれを欠くかで判断します(たとえば石油タンクは用途性を欠くため建物になりません)。
Q. 建物認定の3要件は定着性・外気分断性・用途性で、1つでも欠ければ建物として登記できない。○か×か。
○。3要件はすべて満たす必要があります。どれか1つでも欠ければ、登記できる「建物」には当たりません。
Q. 石油タンクは、鉄板等で外気と分断されていれば建物として登記できる。○か×か。
×。石油タンクは用途性(人や物がとどまれる空間=人貨滞留性)を欠くため、外気分断性があっても建物になりません。
Q. 屋根と周壁があり用途にも供しうるが、土地に定着していない建造物は、建物として登記できない。○か×か。
○。定着性を欠くため建物になりません。浮き船を利用したものなどが典型例です。
登記できる「建物」は、定着性・外気分断性・用途性の3要件をすべて満たすものです(不動産登記規則111条)。
「建物にならない」ものは、どの要件を欠くか(タンク類=用途性、浮き船=定着性など)で説明できます。3つを別々に確認する習慣をつけましょう。
この論点が問われた過去問の解説です(新しい年度から順)。
参考にした資料
・不動産登記規則 第111条(建物の定義)/不動産登記事務取扱手続準則 第77条(建物認定の取扱い)
・令和6年度 土地家屋調査士試験 午後の部 第12問(建物の認定)/法務省 公式問題
※法令・制度は改正されることがあります。最新の不動産登記法・規則・準則は法務省・e-Govでご確認ください。内容確認日:2026年6月12日。
まちがえやすいポイント
3要件は1つでも欠ければ建物になりません。「屋根・周壁があって外気と分断されていれば建物」と早合点しがちですが、石油タンクのように外気分断性があっても用途性(人貨滞留性)を欠けば建物になりません。逆に、移動できそうな鉄道車両でも、土地に定着し用途性があれば建物になり得ます。3つを別々に確認するのがコツです。