独学で学ぶ土地家屋調査士

独学で学ぶ土地家屋調査士
  1. HOME > 民法 > 委任による代理権

委任による代理権とは|代理権の消滅事由と復代理(民法111条・104条・653条)

この記事の要点

代理権は、本人の死亡代理人の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判によって消滅します(民法111条1項)。

委任による代理権は、これらのほか委任の終了によっても消滅します(同条2項・653条)。

代理人が死亡すると代理権は消滅し、その相続人が承継することはありません

調査士は依頼者から委任を受けて、その代理人として登記を申請します。

委任状を作った後に依頼者や調査士の側で事情が変わったとき、代理権が残っているかが問われます。

委任による代理権とは

代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接に効力を生じます(99条1項)。

委任契約にもとづいて与えられた代理権が、委任による代理権です。

代理権の消滅事由(111条)

111条1項は、代理権の消滅事由を本人側と代理人側に分けて並べています。

誰に生じたか代理権が消滅する事由根拠
本人死亡111条1項1号
代理人死亡破産手続開始の決定を受けたこと/後見開始の審判を受けたこと111条1項2号
(委任による代理権)上記のほか、委任の終了によっても消滅する111条2項

委任の終了事由は653条にあり、委任者または受任者の死亡(1号)、委任者または受任者が破産手続開始の決定を受けたこと(2号)、受任者が後見開始の審判を受けたこと(3号)です。

代理人が死亡しても相続人は承継しない

111条1項2号は、代理人の死亡を代理権の消滅事由としています。

代理権が消滅する以上、代理人の地位が相続の対象になることはありません。

まちがえやすいポイント

代理人が死亡した場合、その相続人が代理人の地位を承継して本人を代理することはできません。代理権は代理人の死亡によって消滅します(111条1項2号)。令和7年度では、死亡した調査士の相続人である調査士が本人を代理して登記申請できるとした記述が誤りとされました。相続されるのは財産上の権利義務であって、代理権ではありません。

代理権が消える事由(111条1項) 本人に生じた事由 死亡(1号) 代理人に生じた事由 死亡・破産・後見開始(2号) 代理権は消滅する
本人の死亡と、代理人の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判で代理権は消滅する。※模式図です。

法人の代表者が替わっても代理権は残る

111条1項1号が消滅事由としているのは本人の死亡です。

本人が株式会社であるときは、代表取締役が交代しても本人である会社そのものは変わりません。

令和7年度でも、委任した株式会社の代表取締役が替わった翌日に、調査士が会社を代理して登記申請できるとされています(公式正解による)。

復代理人を選任しても代理権は残る

委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができません(104条)。

復代理人は、その権限内の行為について本人を代表し、権限の範囲内で代理人と同一の権利を有し義務を負います(106条)。

111条は復代理人の選任を代理権の消滅事由として挙げていません。

令和7年度でも、本人の許諾を得て復代理人を選任した後も、調査士が本人を代理して登記申請できるとされています(公式正解による)。

委任はいつでも解除できる

委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができます(651条1項)。

ただし、相手方に不利な時期に解除したときなどは、やむを得ない事由があった場合を除き、相手方の損害を賠償しなければなりません(同条2項)。

代理権がない場合との関係

代理権がないのに代理人として行為した場合は、無権代理の問題になります。

いったん与えられた代理権が消滅した後に代理人として行為したときは、代理権消滅後の表見代理(112条)が問題になります。

過去問での問われ方

令和7年度は、株式会社から分合筆の登記申請を委任された調査士の代理権という形で出ました。

代表取締役の交代、復代理人の選任、代理人の死亡が並んでいて、111条を知っていれば取れる肢が含まれています。

理解度チェック

Q. 代理人が死亡した場合、その相続人が代理人の地位を承継して本人を代理することができる。○か×か。

×。代理人の死亡によって代理権は消滅します(111条1項2号)。相続人が代理権を承継することはありません。

Q. 本人である株式会社の代表取締役が交代した場合、代理人の代理権は消滅する。○か×か。

×。111条1項1号の消滅事由は「本人の死亡」です。本人は会社そのもので、代表者の交代は本人の死亡にあたりません。

Q. 委任による代理人は、本人の許諾を得なくても、いつでも復代理人を選任することができる。○か×か。

×。104条により、本人の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ選任できません。

まとめ

代理権は本人の死亡と、代理人の死亡・破産手続開始の決定・後見開始の審判で消滅し、委任による代理権は委任の終了によっても消滅します。

代理人が死亡しても相続人は代理権を承継せず、法人の代表者の交代や復代理人の選任では代理権は消滅しません。

過去問でどう問われたか(年度別)

この論点が問われた過去問です。正答は法務省公表の正解によります。各問の解説は年度・問番号から確認できます。

年度・No.正答問われた論点
令和7 No.73委任・代理権

※正答は法務省公表の正解(標準解答)によります。

参考にした資料

  • 民法99条1項(代理行為の要件及び効果=代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる)を条文で確認
  • 民法111条(代理権の消滅事由/1項1号=本人の死亡、1項2号=代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと、2項=委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する)を条文で確認
  • 民法104条(任意代理人による復代理人の選任=委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない)・106条(復代理人の権限等)を条文で確認
  • 民法651条(委任の解除=各当事者がいつでも解除できる/相手方に不利な時期の解除等は損害賠償。ただしやむを得ない事由があったときを除く)・653条(委任の終了事由=1号 委任者又は受任者の死亡、2号 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと、3号 受任者が後見開始の審判を受けたこと)を条文で確認
  • 令和7年度 午後の部 第7問(委任・代理権)/法務省 公式問題・正解(正解=3=イ・ウが正しい)
独学で学ぶ土地家屋調査士 編集部

この記事を書いた人

独学で学ぶ土地家屋調査士 編集部

土地家屋調査士試験の用語・条文・記述式・測量計算を、法務省の公式情報と最新の法令に照らして整理しています。

Topへ >>

  1. HOME > 民法 > 委任による代理権