この記事の要点
登記記録は、一筆の土地・一個の建物ごとに作られ、表題部と権利部に分かれます(不動産登記法2条5号)。
表題部は表示に関する登記(土地家屋調査士が扱う)、権利部は権利に関する登記で、甲区(所有権)と乙区(所有権以外)に分かれます。
表示に関する登記の登記事項は、土地・建物に共通のもの(27条)に、土地(34条)・建物(44条)ごとの事項が加わります。
登記記録とは、一筆の土地または一個の建物ごとに作られる、その不動産の記録です(不動産登記法2条5号)。
この登記記録は、大きく表題部と権利部の2つに分かれます。
土地家屋調査士が扱うのは、このうち表題部(表示に関する登記)です。順番に整理します。
登記記録は、不動産の物理的な状況を示す表題部と、権利関係を示す権利部で構成されます。
表題部には表示に関する登記が、権利部には権利に関する登記が記録されます(不動産登記法2条7号・8号)。権利部は、さらに甲区と乙区に分かれます。
表題部は、その不動産が「どこにある・どんな土地建物か」という物理的状況を公示する部分です。
土地なら所在・地番・地目・地積、建物なら所在・家屋番号・種類・構造・床面積が記録されます。これらの表示に関する登記が、土地家屋調査士の専門領域です。
まだ所有権の登記がない段階では、所有者も表題部に記録されます。これを表題部所有者といいます。
権利部は、その不動産の権利関係を公示する部分で、甲区と乙区に分かれます(不動産登記規則4条)。
甲区には所有権に関する登記、乙区には所有権以外の権利(抵当権・地上権・地役権など)に関する登記が記録されます。
権利部の登記(所有権の保存・移転、抵当権の設定など)は、司法書士が扱う領域です。土地家屋調査士は原則として権利部には関与しません。
| 区分 | 記録される登記 | 例 |
|---|---|---|
| 甲区 | 所有権に関する登記 | 所有権保存・移転、差押え |
| 乙区 | 所有権以外の権利に関する登記 | 抵当権、地上権、地役権、賃借権 |
表示に関する登記に何を記録するかは、法律で決まっています。
土地・建物に共通する事項(27条)に、土地(34条)・建物(44条)ごとの事項が加わる、という構造です。
| 区分 | 条文 | 主な登記事項 |
|---|---|---|
| 共通 (土地・建物) | 27条 | 登記原因及びその日付/登記の年月日/所有権の登記がない不動産の所有者(表題部所有者)/不動産を識別する事項 |
| 土地 | 34条 | 所在(市・区・郡・町・村・字)/地番/地目/地積 |
| 建物 | 44条 | 所在・家屋番号/種類・構造・床面積/附属建物/区分建物は一棟の建物の構造・床面積・敷地権 など |
共通事項の1つとして登記原因及びその日付が挙げられている点に注意します。表示に関する登記でも、原則として登記原因とその日付が登記事項になります。
ただし分筆・合筆の登記のように、登記原因の日付を伴わないものもあります。
登記記録の構成そのものが、択一の空欄補充などで直接問われます。
平成29年度(午後第4問)では、登記記録が表題部と権利部に区分されることが空欄補充で問われました。令和3年度(午後第12問)では、建物の表示に関する登記の登記事項が問われています。
令和5年度(午後第5問)は表題部の登記記録が新たに作成される場面、令和元年度(午後第19問)は登記事項の「原因及びその日付」から分筆・合筆の沿革を読み取る問題でした。
Q. 登記記録は表題部と権利部に分かれ、権利部はさらに甲区と乙区に区分される。○か×か。
○。表題部は表示に関する登記、権利部は権利に関する登記で、権利部は甲区(所有権)と乙区(所有権以外)に分かれます。
Q. 抵当権に関する登記は、権利部の甲区に記録される。○か×か。
×。抵当権は所有権以外の権利なので、乙区に記録されます。甲区は所有権に関する登記です。
Q. 土地の地目や地積は、権利部に記録される。○か×か。
×。地目・地積は土地の物理的状況を示す事項なので、表題部(表示に関する登記)に記録されます。
登記記録は表題部(表示に関する登記)と権利部(権利に関する登記=甲区・乙区)に分かれ、土地家屋調査士が扱うのは表題部です。
表示に関する登記の登記事項は、共通(27条)に土地(34条)・建物(44条)の事項が加わる形で押さえましょう。
この論点が問われた過去問です。正答は法務省公表の正解によります。各問の解説は年度・問番号から確認できます。
| 年度・No. | 正答 | 問われた論点 |
|---|---|---|
| 令和5 No.5 | 5 | 表題部の登記記録等(作成される場面) |
| 令和3 No.12 | 5 | 建物の表示に関する登記の登記事項 |
| 令和元 No.19 | 4 | 登記事項の記録(分筆・合筆の沿革) |
| 平成29 No.4 | 5 | 不動産登記の目的・登記記録(空欄補充) |
※正答は法務省公表の正解(標準解答)によります。
参考にした資料
・不動産登記法2条(5号・7号・8号)・27条・34条・44条、不動産登記規則4条(登記記録の構成・表示に関する登記の登記事項・甲区/乙区の区分)/e-Gov法令検索・法務省で確認
・平成29年度 午後第4問/令和3年度 午後第12問/令和5年度 午後第5問/令和元年度 午後第19問/法務省 公式問題・正解
※法令は改正されることがあります。最新の不動産登記法・規則は法務省・e-Govでご確認ください。内容確認日:2026年7月17日。
まちがえやすいポイント
所有権に関する登記は甲区、抵当権など所有権以外の権利は乙区です。甲区と乙区を逆に覚えないようにしましょう。土地家屋調査士が申請するのは表題部(表示に関する登記)で、甲区・乙区(権利に関する登記)は原則として司法書士の領域です。