この記事の要点
表題部所有者は、表題部(表示に関する登記)に記録された所有者で、まだ所有権の登記がされていない段階の所有者です。
所有権の登記名義人は、権利部(甲区)に所有権保存登記・移転登記で記録された所有者です。
所有権保存登記をすると、表題部所有者は権利部に移ります。
表題部所有者とは、登記記録の表題部(表示に関する登記)に記録された所有者で、まだ所有権の登記がされていない段階の所有者です。
これに対して、所有権の登記名義人とは、権利部(甲区)に所有権の登記(保存登記・移転登記)によって記録された所有者です。
どちらも「登記記録上の所有者」ですが、表題部に記録された段階か、権利部に記録された段階か、で違います。順番に整理します。
建物を新築した直後など、まだ権利の登記がされていない不動産では、表題登記(表示に関する登記)に所有者が記録されます。これが表題部所有者です。
表題部所有者は、まだ権利に関する登記(所有権の登記)がないため、その段階では第三者への対抗力はありません。土地家屋調査士が扱う表示に関する登記の段階の所有者、というイメージです。
所有権の登記名義人は、権利部(甲区)に所有権保存登記や移転登記によって記録された所有者です。
権利部に記録されることで、所有権を第三者に対抗できるようになります。権利に関する登記なので、司法書士が扱う領域です。
表題部所有者(またはその相続人など)が所有権保存登記を申請すると、権利部(甲区)に所有権の登記名義人として記録されます。
このとき、表題部の所有者の記録は下線が引かれて抹消され、所有者の情報は権利部に移ります。
| 項目 | 表題部所有者 | 所有権の登記名義人 |
|---|---|---|
| 記録される場所 | 表題部(表示に関する登記) | 権利部 甲区(権利に関する登記) |
| 段階 | 所有権の登記がまだない | 所有権保存・移転登記がされた後 |
| 第三者への対抗力 | ない | ある |
「表題部所有者又は所有権の登記名義人」という形で、択一に何度も登場します。
令和6年度(午後の部)でも、第4問の表題登記の添付情報、第8問の分筆、第9問の合筆などで、「表題部所有者」と「所有権の登記名義人」が並んで出てきました。どちらの段階の所有者の話かを正しく読み分けることが大切です。
Q. 表題部所有者は、まだ所有権の登記がされていない段階の、表題部に記録された所有者である。○か×か。
○。表示に関する登記の表題部に記録された所有者で、権利の登記(所有権の登記)はまだされていない段階です。
Q. 所有権保存登記をしても、所有者の情報は表題部に残り、権利部には記録されない。○か×か。
×。所有権保存登記をすると、表題部の所有者は抹消され、権利部(甲区)に所有権の登記名義人として記録されます。
Q. 所有権の登記名義人は、権利部(甲区)に記録された所有者である。○か×か。
○。所有権保存登記・移転登記によって、権利部(甲区)に記録された所有者です。
表題部所有者は表示に関する登記の表題部に記録された所有者(権利の登記前)、所有権の登記名義人は権利部に記録された所有者で、所有権保存登記によって表題部所有者が権利部に移ります。
「表示登記の所有者か、権利登記の所有者か」で読み分けましょう。
この論点が問われた過去問の解説です(新しい年度から順)。
参考にした資料
・不動産登記法(表題部所有者・所有権の登記名義人・所有権保存登記)/両者の違いについて、土地家屋調査士・登記関連の解説で確認
・令和6年度 土地家屋調査士試験 午後の部 第4問・第8問・第9問/法務省 公式問題
※法令は改正されることがあります。最新の不動産登記法は法務省・e-Govでご確認ください。内容確認日:2026年6月13日。
まちがえやすいポイント
表題部所有者は、まだ所有権の登記がされていない段階の所有者で、その段階では第三者への対抗力はありません。所有権保存登記をして初めて、権利部の所有権の登記名義人になり、対抗力が備わります。「表示登記の所有者=表題部所有者/権利登記の所有者=所有権の登記名義人」と区別しましょう。