この記事の要点
合体は、増築などで複数の建物が物理的にくっついて1個の建物になることです。申請義務があり、抵当権などがあっても登記します。
合併は、物理的な工事はせず、複数の建物を登記上1個(主+附属)にまとめることです。任意ですが、合併禁止事項の制限があります。
「物理的に1個か/登記上まとめるだけか」が、2つの大きな違いです。
建物の合体とは、増築などによって数個の建物が物理的に接続し、1個の建物になることです。
これに対して、建物の合併とは、物理的な工事をせずに、数個の建物を登記の上で1個の建物(主である建物と附属建物)にまとめることです。
名前が似ていますが、物理的に1個になるか、登記上まとめるだけか、で大きく違います。順番に整理します。
合体は、たとえば2個の建物の中間を増築してつなげるなど、物理的に1個の建物になってしまった場合です。
物理的に1個になった以上、そのままにはできず、合体の登記をしなければなりません(申請義務)。たとえ一方に抵当権が設定されていても、合体は起きてしまっているので、登記をして合体後の建物に権利を引き継ぎます。
合併は、物理的な工事はせず、別々に建っている建物を登記の上だけで1個にまとめる手続です。母屋と物置を、主である建物と附属建物からなる1個の建物にする、といったイメージです。
合併をするかどうかは任意ですが、合併禁止事項という制限があります。所有者が異なる場合や、一方に抵当権があって他方にない場合などは、合併できません。
| 項目 | 合体 | 合併 |
|---|---|---|
| 物理的な変化 | あり(くっついて1個になる) | なし(登記上まとめるだけ) |
| 申請 | 義務(しなければならない) | 任意(するかは自由) |
| 権利の制限 | 抵当権などがあっても登記する | 合併禁止事項に触れるとできない |
合体・合併は、択一で問われます。
令和6年度(午後の部)では、第5問で合体に伴う登記(抵当権の登記名義人の承諾など)が、第16問で建物の合併の登記の可否(仮登記がある場合・共用部分である旨の登記がある場合など)が題材になりました。「物理的に1個になる合体(義務)」と「登記上まとめる合併(任意・制限あり)」の区別を押さえておくと対応できます。
Q. 2個の建物の中間を増築して物理的に1個の建物になった場合は、合体の登記をする。○か×か。
○。物理的に1個になっているため合体で、申請義務があります。抵当権などがあっても登記します。
Q. 建物の合併は、物理的な工事をして建物を1個にする手続である。○か×か。
×。合併は物理的な工事をせず、登記の上で1個(主+附属)にまとめる手続です。物理的に1個になるのは合体です。
Q. 一方に抵当権があり他方にない2個の建物は、いつでも合併できる。○か×か。
×。合併禁止事項に触れるため合併できません。合併には所有者の同一などの要件・制限があります。
合体は物理的にくっついて1個になること(申請義務あり)、合併は物理的には別のまま登記上1個にまとめること(任意・合併禁止事項あり)です。
「物理的に1個になったか/登記上まとめるだけか」で見分けましょう。
この論点が問われた過去問の解説です(新しい年度から順)。
参考にした資料
・不動産登記法(建物の合体・合併の登記)/合体・合併の違い・要件について、土地家屋調査士事務所の解説で確認
・令和6年度 土地家屋調査士試験 午後の部 第5問・第16問/法務省 公式問題
※制度・要件は改正されることがあります。最新の不動産登記法・規則は法務省・e-Govでご確認ください。内容確認日:2026年6月13日。
まちがえやすいポイント
合体は、抵当権などがあっても登記しなければなりません(物理的に1個になっているため)。一方、合併は任意で、合併禁止事項(所有者が異なる、一方に抵当権があり他方にない等)があるとできません。「物理的に1個=合体(義務)/登記上まとめる=合併(任意・制限)」で区別しましょう。